草津の小さな女将さんへ


草津で出逢った愛らしい女の子へのお手紙。

プーさんの便箋2枚に温泉のお礼を綴り、
この女の子の笑顔の写真を1枚を添えて封をした。
もちろんプーさんのシールで。

温泉以上の癒しをどうもありがとう。





先日の草津旅行で出逢ったとても愛らしい女の子。





新宿へのバスが出発するまであと2時間。
「あともう1回ぐらい温泉に入っていこう」
そんな軽いノリで、私と友人たちは近くにあった旅館を訪ねた。


新しいとも古いとも言えない内装。

それでも外の雪降る寒さに比べれば在り得ない程にあたたかい空気が漂っていた。

「温泉、入れますか?」



バス出発まであと50分。
温泉で冷えきった体を温め再びロビーに戻ると、奥の方からスタッフの女の方がやってきた。
「ほら、くーちゃんもおいで」
よく見ると、スタッフさんの陰には1人の小さな女の子が隠れていた。
こちらを恥ずかしそうにチラチラと見ている。

「くーちゃん座って?ありがとうございましたってするの、ペコリンチョって。」
「…」
恥ずかしがりやさんなんだなぁ…なんて思いながら、私はカメラのシャッターを切った。
初対面は苦手なのだろうか。
その後すぐ、くーちゃんは奥の方へ戻って行ってしまった。




少しするとカウンターの陰から突然くーちゃんが現れた。

私の方へトコトコと走ってくる。
どうやら何か言いたいことがあるらしい。

私は腰を落としてくーちゃんと同じ高さまで目線を落とした。
内緒話をするように私の耳に手を寄せるくーちゃん。
「あのね、猫行っちゃったの」
小くて消えそうな声でそう言われた。
「そっか、それは大変だね。」
「こっちなの!」
いったいどこに案内したいのか、小さな手が私の少し温かくなった手を引き始めた。


もうそろそろバスの時間だ。
友人達が靴を履き始めた。
私もそれに続くようにブーツを手に取る。

「ほら、皆さんお帰りになるから、ありがとうございましたってするの」
振り返ると、くーちゃんがスタッフさんの横でちょこんと膝をついてお辞儀をしていた。
さっきは恥ずかしそうに隠れていたのに、今度はちゃんとペコリンチョが出来ていた。


まさか草津でこんなに愛らしい女将さんに逢えるなんて。
なんだかとても嬉しくて、私は思わず「またね」と声をかけた。





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