Popular Posts

短文『ある男の話』

Read Article →
 男はその場所で、ただ呆然と視界に映る景色を見ていた。感情は特にない。今の彼は、被写体に必死にピントを合わせるカメラに似ている。電源が入るのは10分に1回。駅に電車が到着すると、自動的に動き始めた。  この駅はそんなに大きな駅ではない。通勤ラッシュの時だけ臨時で停車する...